+geranium+





「本当にいいのか?」

「ああ、もう決めたんだ。それに……そろそろ隠し通すのも難しくなってきたし。」

「そうだな……。ならば何も言うまい。」

レディは残念だ、と続けてデュオの辞職を受領した。

「だが今月いっぱいは働いて行ってくれ。」

万年人手不足のプリベンターは、優秀な人材をすぐに失う訳にはいかない。

「わかってるって。」

「ここを辞めてこれからどうするの?」

側にいたサリィが口を開いた。

「ん〜まだ決めてないけど、学校に行こうかなって思ってる。」

2年間ここで働いて溜めたお金は殆ど使う事がなかった為、生活には何ら問題はない。

「そう、それがいいかもしれないわね。」

あんまり想像つかないけど、と続けてふわりと笑うサリー。

「何か困った事やわからない事があったらいつでも聞いてちょうだい。」

姉の様に親身になってくれるサリィによろしくなと応えた。

「じゃ、オレそろそろ戻るわ。」

「ああ。」

「またね。」

軽く挨拶を交わして部屋を出た。










「決めたのか。」

いきなりの声に少し驚きながら前を向くと五飛がそこに立っていた。

「ビックリしただろ。」

待ってたのかと尋ねれば、用があって来たと返された。

「アイツには言ったのか?」

「いや。っていうか別に言う必要ないと思うんだけど。」

アイツとはもしかしなくてもヒイロのことだ。

ヒイロはお嬢さんのSPをしていて、プリベンターの臨時職員。

なので会う事も話す事も殆どない。

それに別にアイツと組んでた訳でもないし報告する義務はない筈だ。

「お前はそれでいいのか?」

この2年間、いや戦争中からずっとオレはヒイロが好きだった。

でもどれだけ話しかけても、笑いかけても、アイツの態度は変わらなかった。

昔ほどあからさまな無視はないものの、それでも好かれていない事だけは理解できる。

偶に会っても挨拶程度。

目が合っても決してアイツから話かけてくることはない。

話し掛ければそれなりに聞くようにはなったけど。

そんな奴に言う必要があるのか?

それとも自分が女であることをバラせばアイツはもう少し優しくなるのか?

けど自分はきっとそれを望んでいない。

男とか女とか関係なく、ありのままの自分を見てほしい。

この恋は絶望的。

だってヒイロにはもう心に決めた人がいるはずだから。

いつだってヒイロの隣りを独占出来る人。

自分が欲しい場所に当たり前の様に並んでいる平和の女神。

勝てる訳がない、いや、はなから勝ち目なんてない。

そろそろ隠しきれなくなってきた体のライン。

プロテクターをして何とか誤魔化してきたけどそれもキツイ。

身長も伸びなくなってきた。

だから……これがいい機会だと思った。

女性に戻れば自分が元ガンダムパイロットだとバレることはないだろう。

誰も自分を知らない所で一からやり直すのもいいかと思った。

レディ達には悪いけどアイツの事を吹っ切るいいチャンスにしたいんだ。

「…ュオ、デュオ!聞いているのか?」

「あ、悪い。何だっけ?」

どっぷりと自分の思考に浸っていて五飛の話を聞いてなかった。

「お前はそれでいいのかと聞いた。」

ああ、そんな話してたっけな。

「いいんだよ。アイツに言ったところで無言が返ってくるのがオチだって。」

それにいちいち言うほどのことでもないし、と付け足した。

それにオレが辞めようが辞めまいがアイツは痛くも痒くもないだろうし。

けどオレが居なくなる分だけ任務が回ってくるかもだけど。

「まぁ聞かれたらうーちゃんから上手い事言っといてくれよ。」

五飛は腕を組んだままの状態で渋い顔を崩さない。

「それより、いきなり辞めて悪かったよ。」

「気にするな。」

「なぁ、オレが女でもさーその……。」

「お前はお前だ。今までと何も変わらない。」

「うーちゃんっ!」

嬉しくて五飛に飛びついた。

「おいっ、やめんかっ!」

サンキューな、そう呟いて頬にキスして離れた。

「へへっ、じゃオレ先に戻ってるよ。」

まだ怒ってる五飛をその場に残し俺は職場に戻った。

五飛はわかっているのだろうか。

さっきの一言がオレにはどんなに嬉しい言葉だったのかって。

性別を隠していただけで今までと自分は何も変わっていない。

女だからって今までと違う接し方をされるのが恐かった。

何も変わらない……その一言が堪らなく嬉しい。

だからオレは大丈夫だと自分に言い聞かせる。

これからもオレは何も変わらない。

デュオ・マックスウェルとして生きていく。

アイツの事も吹っ切るって決めたし。

きっとアイツよりいい奴見つけてやる。

そんな事を考えていたら、何だかすごく心が軽くなった気がした。

取り敢えず、今月いっぱい一生懸命働きますか!











あとがき
デュオ子話第一弾!
どこがデュオ子だよ!っていう突っ込みはなしでお願いします(汗)
プリベンを辞める話です。←読めばわかるYO!
この部分は取り敢えずいるかな〜と思って書いてたら長くなってしまいました。
デュオが色々決意するんです。
プリベンターを辞めること、女の子に戻ること、ヒイロのこと……などなど。
なので続きます(汗)
でもこんなのの続き読みたい人いるのかな〜って感じですよ正直(笑)
面白くなくてスミマセンm(_ _)m←シリアスなもんで。

2006.09.21     葵