+Wish+





ピースミリオン内にある、Gパイロット達に割り当てられた部屋の中。

簡易ベッドが置かれているだけの狭い空間に向かい合って立つ二人。

見つめ合う瞳は逸らされることはなく、ただじっとオレを見つめている。

それに耐え切れず視線を逸らせば、それが合図になったかのように相手が動いた。

腕を掴まれベッドへと導かれる。

軽く押し倒され横になった。










少し無骨な指先が服を捲り上げ、オレの背を辿っていく。

腰から脇腹をなぞり上げ、浮き出ている肋骨を1本1本なぞっていく。

その動きはどうみてもこれからの情事を思わせるそれで、身体を辿る指先はとても優しい。

「デュオ。」

時折思い出した様に掠れた声がオレを呼ぶ。

耳に囁かれる自分の名前は普段呼ばれることは少ない。

どうしてこんな時にだけ名前を呼ぶんだろう。

だから、それだけでイってしまいそうになる。

初めに手を差し出したのはどちらからだろう?

もうそれすらも思い出せない程何度も身体を重ねている。

そう、ただ身体を重ねるだけ……。

それ以外に意味はない。

手を伸ばせば、それに気づいた相手はオレの腕を取り自分の首に巻きつかせる。

そうやってぴったりと重なりあえば、相手に閉じ込められている錯覚に陥る。

このままずっとこうして抱き合っていたいと思う。

出来る事なら、この胸にずっと抱かれていたいと思う……。

抱きしめられたまま、窓から見える宇宙を眺める。

こんなに宇宙は広いのに。

あんなに自由を望んでいるのに。

この暖かい腕の中にずっといたいと思ってしまう。

だけど……それは出来ない事だと知っている。

今は戦争中で。

大事な任務中で。

でもそれだけじゃなくて……。

相手が進入してくる圧迫感に思考が途切れがちになる。

激しく揺さぶられる身体、律動が脳までも刺激する。

与えられる快感は本物で、こんな時だけお互いが同じものを求めている。

決して望んでるものは同じではないのに……。










開放の余韻に浸り見つめ合う二人。

でも決してキスを交わすことはない。

どちらが決めたわけでもない。

ただ、お互いしたことは一度もなかった。

それが当たり前になっていた。

自分達はキスを強請り合うようなそんな関係じゃないから。

これはただのゲーム。

いつエマージェンシーコールが鳴るかわからないこの状況下での苛立ち。

休戦中の暇な時間。

戦闘からくるストレス。

それらが突き動かす結果がこれだ。

呼吸が落ち着いた頃、相手が起き上がり服装を正す。

そのまま立ち上がろうとする相手の腕を掴んで起き上がった。

まだ何かあるのかという目がオレを見る。

ああ、まだ大丈夫。

まだ間に合う。

まだ離れられる。

アイツがこの行為の意味に気づいてないから。

アイツがこの行為の意味に気づこうとしないから。

オレがこの気持ちに名前を付けてしまう前に終わらせよう。

「ヒイロ。」

振り向いたその相手の唇に、軽く触れるだけのキスをした。

そして、衣服を身に付け部屋を後にした。











戦争が終わったらアイツはオレ達の前から姿を消すだろう。

それは自分も同じことで。

消えてしまえばもう会う事はないだろう……。

だけど、もしアイツがこのキスの意味に気づいたら?

もしアイツがこの行為の意味に気づいたら?

オレ達はまた出逢えるかもしれない。

決して自分からは言わないけれど、決して自分からは会いに行かないけれど、会いたいと思う。

その時はきっと自分のこの気持ちにも名前が付いているだろう。

まずはこの戦いを終わらせる。

「死ぬなよ。」

生きて再び再会するその日まで。

オレは初めて十字架に祈りを込めた。











あとがき
GW明けの久しぶりのSSですが、すっかり書き方を忘れてます(汗)
なので何やら訳のわからんものが出来上がってます。←もういつものこと。
今回は珍しく戦争中のお話。(ってことにしておいてください)
よくよく見たらセリフが3つしかなかった……(^▽^;)
しかもお互い名前しか読んでないよ。あらやだ。でもまっいっか(笑)
まだ二人とも自分の気持ちに気づいてないんですね。
で、デュオが先に気づきそう!みたいなお話ということでお願いします。

2006.05.10     葵